できる上司が言う言葉は「なぜ」ではなかった
夏になると気温は35度を超えますね。人は30度を超える環境では作業効率が落ちることが確認されています。また、人は暑さと怒りを感覚的に錯覚するという話もあります。
つまり、夏は仕事できない!!
それはさておき、一時期のできる上司像に「なぜ」と問うといい仕事が上がるという話が広まりました。時代が変わったからかそもそも違ったのかはともかく、今は「なぜ」はできない上司の象徴のようです。
なぜ聞くのか
上司はどうして「なぜ」と質問するのでしょうか。一つはその仕事に対して思考させることで理解を促す意図があります。またなぜという質問は上司が理解できていなくてもできる質問で、返ってくる答えを待つことで自分の優位性を保つこともできます。
後者に関しては自覚してない上司も多くいるようですが、現在は用途としては自分の優位性を保つことの方が優先されがちです。
「なぜ」という言葉が流行った背景には、自己啓発の流れが強くありました。なぜそれをえらんだのか、なぜそうしなければいけなかったのか、なぜ自分がそれをするのかそういう言葉が一人の仕事を深く強くするというものです。 仕事を深くし、仕事を理解し、仕事を考えて行うためにwhyは有効であることは明らかでもあります。しかしなぜ今それがダメ上司の言葉になってしまったのか。元々自分のためのwhyを相手にだけ投げかけてきたせいでしょうか。世代が進み中身を伝えることなく、問うことだけを継承して形骸化きたのでしょうか。
ともかく今はなぜと問うことは有効ではなくなっていることだけは確かです。
聞いて答えは出るのか
なぜという質問の何が有効でなくなったのか考えてみましょう。
1.答えが忖度されている。 2.なぜに対しての答えがない
1について、何故と言われれば「なぜなら」と答えるのが当然と言うか正解のようなものですが、一般的に人は空気を読みます。つまり何故かを考える以前に質問者のほしい答えを探すということです。それは回答者の仕事力には繋がりません。
2について、基本的に質問者は答えを考えていないものです。なぜなら質問に保身要素が強いですから。答えなんか元々無いんです。ところが回答者は答えがほしい世代です。質問されて頑張って答えても適当に答え合わせだけをされて次はまた違う答えが待っているかもしれない。そうなるとさらに空気を読もうとしてただのめんどくさいやりとりとして記憶されていきます。
もちろん答えてほしい「なぜ」だってあるでしょうが、また世代が変わり意味が復活するまではこの質問方法は死んだと思う他ないでしょう。
蛇足ですが、答えを欲しがる世代に怒る人がいますが、大抵その人たちが育てた結果なので怒るなら育てた大人たち、自分たちを悔むのが先ですね。
どうやって促すのか 任せながら注意も喚起する
意味がなくなったからと言って質問をしたりして部下の成長を促したいのが上司です。どのような方法で成長させていけばいいでしょうか。
押さえておくポイントは自主性と継承です。 自分で考えて行動し、部下を持ったり会社を支える人となる力をつけてもらいたいものです。また重要なことは上司の経験や知識を継承すること。軽く考えられがちで、システム化もされていないことが多いですが、経験や知識を継承しなければ事業の成長は間もなく止まり衰退するでしょう。
自主性を促すからと言って放り投げるわけにもいきません。それは委任ではなく放棄です。任せながら注意も促し、必要な要素や不要な要素を洗い出すようなやりとりが必要です。
上司像とは
まず現状で優しい上司は答えてあげる上司になってしまっています。欲しがる答えを与えるのが必要だったり有効だったり、時間的にそうしなければいけないこともあります。しかし基本的に答えこそ委任するべきです。
「上司とは答える人ではなく、踏み外した道を修正し、力を引き上げる人」です。 例えば仕事で部下のほうが成果を出すとしても、そうさせることのできた上司の力というのは評価されるべきでしょう。なぜか成果そのものを欲しがる上司というのがちょいちょいいるようですが。
魔法のコトバ
最近のいい上司の言葉は「なるほど」です。これだけで終われる言葉ではありませんが、ここから始めることで仕事に対して肯定的に進めることができます。そしてこの言葉のあとにも「なぜ」を使わずに成果物を修正、評価することで上司力もあがります。
また「ありがとう」という言葉も使いどころに注意しながら使ってほしいところです。感謝ですからいい言葉のように見えますが、ありがとうというと自分のために仕事を上げてもらったように感じられることが案外多くあります。そうなると成果をまた上司が取るのかと言う話がでてきてしまうので注意が必要となります。上司は成果をまとめる役職です。上司がその成果をだしておらず、その上で全体の成果は上司あってこそだったと言われる上司になりたいですね。
「なるほど、ならこういう方向で行くのかな」「なるほど、こういうところだけ注意してすすめよう」 言い回しが難しい事もあると思いますが、「なるほど」の強さは私生活でも発揮されるのでぜひ。
なぜなぜ上司の下についてしまったら
上司になったら考えることもありますが、まずは自分の上司がなぜなぜうるさかったらどうしましょう。
してはいけないのは上司を否定すること。部下にするのと同じで自分が正しいからと言って相手が間違っているというのは傲慢で間違いです。そういう上司は笑顔で質問攻めがいいでしょう。
質問攻めをする時に大切なのは笑顔!真顔で質問攻めというのは結局自分がなぜなぜと言うのと変わりません。質問するときはイエスかノーで答えられるような質問にするほうがスムーズです。とはいってもイエスかノーで答えてください!みたいな馬鹿なこともしてはいけません。
この質問攻めの肝はコミュニケーションですから、上司を落として恋人にするような気持ちがあるくらいでいきましょう。