営業の失敗病
私は社会に出てから営業職をずっとやっていました。やらされていたわけではなく、営業職を望んでやっていました。
辛いと言われ、毛嫌いされがちな営業職を何故私はやっていたのでしょうか。 店内、個人営業、法人営業と営業を経験してきて何をえたでしょうか。
営業は花
まずは営業の素晴らしさについて考えていきましょう。多くの仕事の中で営業とは顧客と触れる最前線です。それはどなたも認識されていることと思います。それ故に商品の文句を言われ、断られ、怒られるのも営業です。一番自社商品に自信を無くしてしまうのも会社に文句を言うのも営業かもしれません。
しかし最前線だからこそ客の顔が見れる喜びがあります。喜ばれ、笑いあい、一番熱の持ちやすい職種もまた営業なわけです。
少し前まで会社の社長には営業を経験した人物がなるのが当たり前だった時期があります。それもまた客の声を聞いてきた経験が生きるからで、自分の組織に対する熱があるからです。まあ、最近では技術職、プログラマ経験が必要という感は否めませんが。
とはいえ、営業職が花であるというのはそういった面だけではありません。そしてこれから書くことこそが私が営業をした理由です。
それは営業は全ての個人に必要な能力であるという考えです。自分の主張をするというのはアサーション、アサーティブな生き方という事を考えると必要です。しかし自己主張を悪いことのように考える人は多いですし、「空気を読む」という言葉が流行ってから更にそういった流れは膨らんだようです。
あれが食べたいこれがしたい、あれが好きこれが嫌いこれは全て自己主張です。自己主張はそれを通そうとすることではなく、周りの人の主張とすり合わせて皆で満足できる結果を得るためにするものです。
そういった主張の仕方を学ぶのが営業なので全ての個人に必要な能力だと言うわけです。主張の仕方は学校でも仕事でも教えてくれるものではありませんからね。
営業の怖さ
客と対面するということは恐ろしいものです。自分が作ったわけでもないものを自分が作ったもののように扱わなければいけません。そこで失敗すると自分の信用も商品の信用もなくしてしまうことがあります。
営業は断られる連続です。特に飛び込みなんかはほとんど断られる前提です。個人なんかが相手だと警察を呼ばれることも時々あります。恐ろしいものです。
さらに営業は売上です。つまり営業が売れなければ会社にお金は入らず社員は給料が貰えません。実際に貰えないなんてことはあまりないでしょうが、営業がずっと失敗しているとそうなることも当然あります。つまり営業職は会社を守るための鉾と盾というわけです。商品は命そのものであっても、それを生かすために営業がいなければいけない。日頃の生活そのものは営業が支えると言っても過言ではありません。
営業病「失敗病」
営業をやっていてダメな習慣が付くことがあります。それは失敗癖。 営業は断られて、失敗するのが仕事の大半というのも少ない例ではありません。そんな仕事の毎日で初めは毎日心が折れて吐いたり泣いたり大変な人もいます。しばらくして営業に慣れてくるとそんなふうに心は動かなくなります。営業としてはそこがスタートとも言えますが、この時どうやって心を支えているのかが問題です。
負の営業病は失敗をするために営業に行くこと。失敗することから学ぶこともあります。失敗するのは営業の常です。しかし失敗するために行くわけではありません。それでも自分の心を守るために怒られて失敗するのが仕事だとインプットしてしまう場合があります。
そういう人はそのインプットを壊されるまでひたすら失敗します。成功しようとする工夫も努力も表面だけのものになります。断られる前に断られようとします。 もしそんな人が社内にいたら、助けてあげましょう。ただし、怒っても無駄で成功体験を無理やりにでも詰め込む方がマシです。
成功のための失敗を、成功のための努力を、成功のための踏ん張りを出来るようになるには成功を知っておかなければいけません。過去の体験から成功をかき集めてもいいでしょう。失敗でいっぱいになった記憶をまずはリセットしてあげましょう。