smile seeds

愛と仕事と金

客神様への対応と対策

お客様は神様です。今の世にそれを言う働き手は少なくなってきたように思いますが、それを言う客は増えているように見えます。昔の感覚なら神様というのは厳格で悠々とした存在ですが、客が神様になるとどうも急ごしらえだからか格がひどく低い神様が出来上がります。 ミスをネチネチと突く神様や自分を崇め奉らないと怒る神様なんて客神さま以外に知りません。

日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人―怒鳴られたら、やさしさを一つでも多く返すんです!―

お客様は神さまか?

神様なら相当の不幸を具現化した神様ですね。可哀想なので優しく対応してあげようと思うかもしれません。しかし気持ちの用意のできていないところに怒られると反発してしまうのが格の低い人間というもので客神さまにはご苦労おかけしてしまいますね。

常日頃から客神さまが入ればある程度対応も慣れるのですが、中々いらっしゃるものでもないのでやはり対応は反発が増えがちです。

しかしそれでは爆弾を一つずつ増やしながら投げあっているようなもので解決は爆散ということにもなりがちです。最近は爆散してもお店側が賞賛されていたりしますがそれはそれでやっぱり人間の格の低さを露呈してしまう気がします。神様ではないにしても人なりの解決を持っていたいですね。

現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書

かんたんな対処

客神様には簡単な対応が幾つかあります。これなら人の格が低かろうと使いやすいんじゃないかと思って用意しておきましたので使ってみてください。

  • ですよね
  • 逮捕
  • 引きどころを作る
  • 他では言えない

キーワードとしてはこの4つです。

 ですよね

客神さまは寂しがりやです。そりゃ神様の中でも格が低くて阻害されているかもしれませんし、怒る必要のないところで怒らなければいけないほど苦労されているんですから寂しくもなります。そこで怒られたら「ですよね」感をだしましょう。単純にですよねというのが通じない場面もあるでしょうからそのまま言うといいとは言えませんが要するに「同調」です。客神様の怒りは寂しさの現れなので寂しいよねそうだよねうんうんわかるが一番です。

わかるわかるできるならそうしたいけどそうしたら採算がー上司がーと被害者同士の傷のなめあいに持ち込むと客神様はいつの間にか怒っていたことも忘れて笑っていたりします。笑ってくれた客神様はまた可愛いんですよ。

逮捕 

客神様の怒りはちょいちょい警察沙汰になります。しかしそれはどちらにもプラスになることではありません。客神様は一層の寂しさと怒りを抱えてまた現れるかもしれないですから爆弾一つ増やして返したようなものですね。

客神様はいかに格が低いとは言っても神様ですから知識はあります。そしてなぜか警察という言葉には敵対心を持っていたりするものです。なので同調で会話の糸口ができたら警察とか逮捕とか話題に出してみましょう。話題に出すと言ってもお前逮捕されるぞとは客神様にはいってはいけません。なんせ客神様の基本は反発です。権力への抵抗です。できるもんならしてみやがれってなもんで一悶着が関の山です。話題に出す時はあっちでこんな逮捕があったとかもうすぐ警察の見回りの時間だとかそういう遠回しなものです。敵が来るから隠れようとか客神様の味方になってみるとじゃあそうしようってなもんです。

感情の折り合いをつけられる女(ひと)は強く美しくなる (アスカビジネス)

引きどころ

客神様は怒り出すと止め時がわからなくなってしまう可哀想な性質を持っています。怒り続けるって疲れるのに大変ですね。だからといってまあまあそのへんでとか言ってもてめえなに適当に終わらそうとしてんだってなっちゃいます。客神様の怒りの終わりには理由が必要なんですよね。

怒りの終わりには同調の入り口が必要かもしれません。入ってもいないのに終わろうとするのはアルマゲドンで少隕石の表面に核ぶち込んでも意味ねえぜみたいなもので、やっぱり中に入ってどかんと力を加えないといけません。

実は中に入ると客神様は案外優しい上に指示に従ってくれれます。例えばレジ前で客神様の怒りが始まったとして暫くそこでやり取りをしているとどうしても次のお客さまが来ます。そんなときに同調が済んでると「ほらそこ邪魔だからこっちで待っててね」くらいの言葉でもおうおうとすんなり移動したりします。

その移動の支持をそろそろ忙しくなるからまた続きはまたねと言って次の仕事をし始めるとじゃあねーとか言って帰ったりします。客神様は実は素直ないいこなんですよ。

ブレない・折れない・曲がらない「心の軸」のつくりかた

他では言えない

他にも客神様には悩みがあります。それは誰に怒っていいかわからないという悩み。客神様はなんせ寂しい上に怒りの表現しかできません。 なので同調ができたら「そんなこと他で行ったら大変なことにされちゃうから気をつけて」と心配してあげましょう。なんならそこに「こないだそれで逮捕されてた人もいるからね」と足しておけば客神様はしょぼんとしながらも納得してくれるかもしれません。

ここまでくると客神様はちょっと馴れ馴れしいお客様になってきます。それはそれで大変ですが怒りの客神様よりはよっぽどいい存在です。それに他の店で暴れ客神様になるのも防げるかもしれませんしね。

そして大事なことはこういう客神様の対応を嫌がらないことです。人はどこかで必ず客神様化してしまいます。自分では気づきません。気づけません。自分は助けてほしいけど他は助けないと思うとそれは伝播して周りの人もそうなっていきます。そうするとどうなるか、当然助ける人がいなくなって阿鼻叫喚ですよ。

なので自分のできる救いはしていきましょう。結構楽しいものですよ客神様とのやりとりは。

お客さま、そのクレームにはお応えできません!  [小説]不動産屋店長・滝山玲子の事件簿 (知恵の森文庫)

お客様は神様です。(1) (シリウスKC)