組織内の役割は個性に頼らない
ブレーキのない組織
サダという女性がいました。もう随分前になりますが彼女の仕事はいわゆるコンサルティングでした。彼女はある小さい会社のAから依頼されてそこにいました。そこでは皆が和気あいあいとしていて役職によらず皆が楽しく仕事についていました。
しかしそれが問題でもあったのです。雰囲気を壊したくないために強く言えない上司、強く言っても笑って済ませる部下たちそれを見てまたなあなあの新人が育っていく。この悪循環のためにその組織は徐々に経営力を失いつつありこのままではいけないと白羽の矢が立ったのが彼女でした。
彼女がまず取り組んだのは役割を与えること。もちろん既に仕事上の役割は皆決まっているのですが、彼女が求めたのはエンジンとブレーキです。
エンジンとは勢いを作り、元気付ける立場。ブレーキとは慎重になり思考を促し規制をかける立場。当然この組織に足りないのはブレーキでした。
彼女は言いました。「一旦火が着けば皆が団結し勢いがあるものの、一方では慎重に議論をする雰囲気を作れず、ふざけ始めても止まるのに時間がかかりどちらにせよ効率の悪い業務実態だったのです。」
しかし相手Aも言い返します。「それを立て直して欲しいとお願いしてるのだし、突然そんな風にしたらその役割の人間が阻害されてしまう!」
彼女、サダは優しく笑いながら伝えました。「もちろんこれまでいた人が阻害されるのはよくありませんね。かといって外部からの人がそれを行っても、その人材がいなくなれば結局元に戻ってしまいます。多くの企業でその問題が起きています。彼らは役割を個人の性格に任せすぎているのです。」
個性に頼らない頼らない役割
ではどうすると言うのでしょうか。サダはあるリストを提示しました。
- エンジン3名
- ブレーキ3名
- ボディ3名
- ドライバー1名
- ナビ、メカニック2名
まるで車のことのように書かれたそれを見てAは何も言えず説明を待っていました。サダによる説明はまとめるとこうでした。
エンジン
勢いをつける盛りあげる役割。自分から声をかけポジティブな言葉をかけ何にでも積極的に働きかける。楽しさと激しさの象徴で組織の動力になりきる。
ブレーキ
勢いを止める。思考を促し事故を防ぐ委員長のような存在。理性的に判断し勢いを調整する。
ボディ
組織をまとめる役割。事故にあう時は身を呈しドライバーを守る。見られることを意識した外見と身を守る硬さが大事。
ドライバー
組織の司令塔。必ず一人で道を決める決定権を持つ。組織がどちらに向かうのかはドライバーの決定次第。
ナビ、メカニック
ドライバーが行きたいところへ行くために道を選ぶ役割。エンジンなどが順調に動くようにメンテナンスや調整を行う。
Aは説明にはわかったようなわからないような返事をしていましたが、サダの事は信用したようでそのまま依頼する事になったのです。
ここまでのまとめ
組織には必要な人材があってそれは個性に頼らずに決める方がいい。