素敵なはなし

素敵な話になればいい話、色恋と仕事

祖父に書いた夏の手紙

父の仕事の都合で幼少期を遠方で過ごした私は、夏休みを車酔いに耐えながら祖父母に会いに行くという罰ゲーム期間と捉えていました。

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祖父母の家は古い。風呂はない。匂いが違う。暑い。車酔い。墓参り。
子供には意味の分からないすべてが嫌でした。石にこもった熱が近寄ることを拒む墓。熱で増幅した匂い。夏の悪魔は目に見えずそこら中で悪さをしてるように感じていました。

ある夏の日私は母に言われて祖父母に宛てて手紙を書いていました。子供の使う精一杯の丁寧な言葉のお元気ですかという文字は褒められることのない汚いものでした。

手紙を書いていた時電話がなり慌ただしく家を出ました。慌てたところで何も変わりません。祖父は昨晩亡くなって朝見つかったのですから。
しかし父にとっての祖父は親でした。

着いた時祖父にすがりわーわーとなく父の姿は今まで見たことも無いもので戸惑い祖父よりも父を見ていた記憶があります。私が祖父に対して何かを感じていったのはその少し後。
近所の集会所で開かれた通夜でした。

変な明かりがくるくる回り、線香と夏の匂いがくるくる回り変な場所でした。夜中になって人が少なくなり時々祖父の顔を見たりしていままで見たことのない祖父の顔に何かを感じていました。私にもわからなかったそれは、寂しさなのか悲しさなのかもわからないまま涙だけ流しました。
私にとって初めて亡くなった身内でした。

なんとなくそのとき書いた手紙を読みたくなりました。一緒に焼いてもうないんですけどね。

おじいちゃん、おばあちゃんお元気ですか。そっちは涼しいですか。楽しいですか。僕は元気です。夏は嫌いじゃなくなったけど外にあまり出ないです。子供のままじゃないから変わっても仕方ないね。しっかりやっていくので見てて下さい。
大好きです。